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風等の外力に支配されており、これら条件の変化により、各層の流入出がせき止められるブロッキング現象が発生し、産業排出物の拡散等を含め、胴辺環境へ影響を与え問題となっています。この海峡の成層構造の変化を含めた流れ場の変動を把握することが音響手法による観測の11的で、得られたデータはリアルタイムで伝送されここIOSで常時モニターできるようになります。
その他の研究として、サイドスキャンソナーを海中から真上に向け、海洋の表層の微細な形状・構造を計測したり、またサイドスキャンソナーを水平に向けて固定し、サケや鰊の数量の計測、音響散乱の条件の違いを利用してサケの種類の区別の試み等、水産資源に関する音響計測技術の研究・開発も盛んに行われています。これらの観測技術は、従来の海洋観測機器と併用することにより、

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図-3 音響シンチレーションによる観測(Farmer et al 1991)。ブリティシュ・コロンビア州コルドバ・チャンネルにおける観測例。番号1−7は、異なる音響の伝播経路を示しており、実線は比較のために置かれた流速計による流速変化、点は受信された音響信号より計算された流速変化を示す

より効果的に使われています。
3.温暖な気候と生活について
IOSは、カナダ西海岸ブリティシュ・コロンビア州の州都であるビクトリア市の北約30kmにあるシドニーという小さな町にあります。ビクトリアは州都といっても人口30万人を超える程度で、大都市バンクーバーの沖にあるバンクーバー島の中心になっています。バンクーバー島は、東側にジョージア海峡を挟んで、カナダメインランドと、また南側のファン・デ・フカ海峡を隔てて米同ワシントン州と、そして西側は北太平洋に面しています。IOSはジョージア海峡側にあるフィヨルドに面しており、木立に囲まれた研究所からは遠くバンクーバー島中央部の山並みが望めます。カナダと聞くと、厳しい冬との印象を持たれている方が多いことと思います。事実、内陸や極北の町では、-30℃や-40℃という表示をテレビの天気予報までよく日にしました。しかし、カナダでも最も温暖な地域と片われているビクトリア周辺は、冬でも最低気温はO℃前後で、雪はほとんど積もりません。4年ぶりと言われた1月の大雪も3〜4日で溶けてしまいました。ただ、冬の間は、非常に雨が多く日本の梅雨のようによく降ります。なんとなくどんよりとした暗いイメージです。こちらに来て、まず困ったのは交通手段でした。IOSへは公共の交通機関はなく、一番近くのバス停まで5〜6km程あります。幸い、初めは、研究所から歩いて15分程のところに部屋を見つけていたので、研究所への通勤には問題ありませんでしたが、周りに買い物ができるマーケットがなく、自転車での往復十数kmを強いられました。温暖で雪が積もらないといっても、冬の夜道のしかも雨の中の自転車での買い物はつらい経験でした。とにかく車を手に入れることが、当地での生活の基盤となります。幸い半月程で、中古車を入手しました。渡航前に当地での中古車はよく故障し苦労すると聞かされていましたが、辛いなことに故障もなく快適に動いています。物価は、全般的には日本より安目ですが、食料を除くほとんどの品物に州税、国税がそれぞれ7%、計14%かかります。日本でも消費税3%で慣れているとはいえ、この感覚には未だに、馴染めません。その他、細かい点では、文房具関係が高いわりには充実していないとか、日本食の専門店があるのですが非常に値段が高いとか、レストランのブロッコリーが茄で過ぎだとか、なんで温泉に水着を着てはいらなければならないのか等いろいろ不

 

 

 

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